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第1回セミナー
「人権とガバナンス」開催報告

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講演2 「日本企業に求められる人権擁護の企業活動 ~企業活動を左右する人権問題のビジネスインパクト~」

1. なぜ今、大きな話題となっているのか

人権関係(civil society)だけでなく、 欧米経済界(private sector)の長期戦略、これらを考慮した政府(governments)の動きによる


講師:
東京駿河台法律事務所 
代表弁護士 上柳敏郎氏

市場経済における利益を拡大するには、

  • 消費者の需要の喚起
  • 環境、人権、ガバナンスに配慮した企業への投資

が重要です。

世界各国の人権デュー・デリジェンスに関する法律の整備の状況は以下の通りです。

  • 2011年 国連・ビジネスと人権に関する指導原則
  • 2011年 OECD紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデューデリジェンスガイダンス
    ⇒中央アフリカの紛争地域で、ダイヤモンド、タングステンなどの販売利益がテロリストや政府軍に渡るという問題がありました。国連の(人権委員会ではなく)安全保障理事会が主導してガイダンスが策定されました。
  • 2013年 米国証券取引委(SEC)紛争鉱物規制
  • 2015年 英国現代奴隷法
    英国現代奴隷法をきっかけに、人権デュー・デリジェンスを求める動きが出てきました。イギリスの企業だけでなく、全世界で50億円以上の売上高があり、その一部分がイギリスで売上がある企業は、人権デュー・デリジェンスをイギリス政府に届け出る必要があることが定められています。
  • 2020年 日本政府・「ビジネスと人権」に関する国内行動計画
  • 2020年 日本政府・「ビジネスと人権」に関する国内行動計画(National Action Plan)

2. 企業は何をしなければならないのか

  • 自らの企業内で環境、人権、ガバナンス(ESG)に配慮すること
  • バリューチェーンでのESG配慮(リスク・貢献)=人権等DD

※人権だけでなく、環境などについても配慮(侵害防止、軽減、対処)が必要になります。

(1)国別行動計画(2020)

分野別行動計画の横断的事項がまとめられています。

  1. 労働(ディーセント・ワークの促進等)  ⇒働き方改革、長時間労働の是正。企業がどのような労働リスクがあるのかを把握し、どのように改善したらいいかを検証する。改善の枠組みを問う。
  2. 子どもの権利の保護・促進
  3. 新しい技術の発展に伴う人権
  4. 消費者の権利・役割
  5. 法の下の平等(障害者、女性、性的指向・性自認等)
  6. 外国人材の受入れ・共生

政府は、人権を尊重する企業の責任を促すために以下のような取組みを進めています。

  1. 国内外のサプライチェーンにおける取組及び「指導原則」に基づく人権デュー・デリジェンスの促進
  2. 中小企業における「ビジネスと人権」への取組に対する支援

ビジネスと人権に関する指導原則(国連A/HRC/17/31、2011年3月21日)原則17は、次のような事項を定めています。
原則17 人権への負の影響を特定し、防止し、軽減し、そしてどのように対処するかということに責任をもつために、企業は人権デュー・デリジェンスを実行すべきである。そのプロセスは、実際のまたは潜在的な人権への影響を考量評価すること、その結論を取り入れ実行すること、それに対する反応を追跡検証すること、及びどのようにこの影響に対処するかについて知らせることを含むべきである。

人権DD

自社で人権への影響の考量評価・防止軽減を実行するだけではなく、 取引先から求められることもあるため、対応が必要。

3. リスクをチャンスに積極的にとらえると

  • 具体的解決策・信頼の源泉は、内外の改善の現場、消費者の生の声、調達現場を知り尽くしているバリューチェーン・中小企業
  • SDGsリストを参照して、自社の強み・リソースを活かした中長期戦略の策定を

(1)リスク要因

次のようなリスク要因があります。

  • 各国法違反に係る法的リスク
  • 投資家による投資の引き揚げ
  • 取引先からの取引停止
  • 消費者による不買運動
  • 従業員のストライキによる業務停止
  • これらを含むレピュテーションリスク

(2)人権DDでの情報収集の手法

人権デュー・デリジェンスを進めるにあたって、以下のような方法があります。

  • 取引先等の第三者の状況について当該第三者自身に確認させる手法  
    取引先に証明書、誓約書を提出させる。

しかし、取引先等の第三者による確認のみでは客観性も担保されません。

(3)リスクをチャンスに積極的にとらえる

企業の目的とは単に利益を生み出すことではなく、人々、社会、自然界が直面している問題を解決することにあるという指摘を思いおこす必要があります。