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第3回セミナー
「ダイバーシティ(多様性を活かす)経営」開催報告

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講演2 「働きやすさの追求の先にあったダイバーシティ経営」

1.会社紹介


講師:
有限会社奥進システム 
代表取締役  奥脇 学氏  

構成員12名のうち、9名が障がい者です(障がい者雇用率 100%)。
奥進システムがめざしていることは、職場のなかで幸せを感じてもらうため、みんなが働きやすい職場づくりです。そのためには
①時間と場所に縛られない
②それぞれの働き方を認め合う
ことがポイントです。

2. 障がい者と働くことになったきっかけ

重度の身体障がい者が採用面接の際、「社会と関わっていたい」と発言したことが印象に残り、採用しました。障がい者にとって、会社が働きやすい職場になっているのか否かは、そこで働いている人の声を聞いて確かめるしかないと気づきました。これが、働きやすい職場づくりの根底です。

3. 働きやすい職場にするため

① 仕組みづくり(会社全体をよくするための仕掛け、就業規則など)

障がい者を特別扱いして、障がい者のために仕組みを作ると、不平不満が出てしまいます。組織全体の仕組みを作ったうえで、必要に応じて個別に対応します。一人ひとりの社員に配慮しますが、特別扱いしないことが鉄則です。
仕組みの中で一番重要なのが、就業規則です。就業規則の中に、変形労働時間制、時間有給制度、短時間勤務制度、在宅勤務制度、リハビリ復職規定を設けています。
仕組みづくりで大切なポイント(姿勢)は、話しやすい雰囲気を作ることです。障がい者の社員に、しんどいとき、働きにくいときは正直に言うように伝えています。ただし、口に出して言うのに時間がかかるので、聞き出す仕組みを作ることが重要です。業務日報やWebのツールから気持ちを察したり、プレゼンを通じて話してもらえたりするように心がけています。
もし「仕事がしんどい」と言われたときは、業務改善を図ったり、労働時間を短くしたりするなど、どうすれば働きやすいのかを一緒に考えます。一緒に考え、解決する姿勢を大事にしています。

②個別対応

仕組みができた後で、個々の社員に対してどのように仕組みを活用するかを考え、個々の必要性や希望に応じて仕組みの中で個別対応しています。
個別対応する際は、障がい者社員の状況を理解するように努めて、会社の仕組みの中でどうしたら一番働きやすいのかを一緒に考えます。

4. 障がいのある人と一緒に働いて

障がい者雇用は特別な取り組みではありません。誰もが働きやすい職場づくりと一緒に考える仕組みづくりを実行すると、自然と多様性(ダイバーシティ)のある経営ができるようになります。
障がいのある人と一緒に働いてよかったことの一つは、テレワークのノウハウが蓄積されていたために、コロナ禍においても、たった2日で完全在宅勤務を実現できたことです。
テレワークで問題になるのは、コミュニケーションと仕事の評価ですが、すでに人事評価制度はできていたので、問題はありませんでした。

5. 障がいとは?

障がいについての考え方が、「個人モデル」から「社会モデル(人権モデル)」へ変わってきています。「個人モデル」は、障がい者が困難に直面するのは「その人に障がいがあるから」であり、克服するのは障がい者(と家族)の責任とする考え方です。
一方、社会モデル(人権モデル)は、社会こそが『障がい(障壁)』をつくっており、それを取り除くのは社会の責務とする考え方です。社会に対して障がいがあるため「障がい者」と呼ばれているととらえられています。
障がい者だけでなく、女性、外国人にも当てはまります。
また、コロナ禍は、社会全体で不自由な状況であるのではないかと考えます。たとえば、

  • 外出が限定される
  • 人とのコミュニケーションが限定される
  • 働く時間が制限される
  • 差別を受ける

といった現状は、障がいのある人がもともと社会に感じていたことです。障がい者、女性、外国人などが共に生き、働き、「とてもしあわせと思える社会づくり」を実現し続けていきたいと考えています。

人権を尊重した企業活動のポイント

社会が『障がい(障壁)』をつくり、障がいを取り除くのは社会の責務であるという「社会モデル」に移行しています。
障がいの有無、ジェンダー、国籍などに関係なく平等であるという考え方が共生社会を形づくる基本であり、人権尊重につながります。
そうした企業の姿勢が、今問われています。