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第4回セミナー
「先進テクノロジーと企業経営」開催報告

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講演1 「中小企業でも活用できるテクノロジー基本編~DXがよく分かる~」

1.DXとは何か


講師:
株式会社船井総合研究所
上席コンサルタント 片山 和也氏

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタルを活用して仕事の進め方を変えて業績を上げる取り組みのことで、ビジネス上の観点からどう業績を上げていくのかが非常に重要です。DXの成功企業の例として、コロナ禍にも関わらず、過去最高の売り上げと利益を出している日本マクドナルド社が挙げられます。同社では顧客を12のセグメントに分類し、メールマガジンやLINEなどで情報を発信しています。情報を受けて顧客が来店した際にも、アプリによる事前予約で待ち時間なくピックアップできるなど、便利さと再度来店することへの意欲喚起をしています。

2.DX活用の前提条件

本日はDXに関する方法や成功事例等をお話ししますが、企業におけるDXの取り組みには「求められる前提条件」があります。それは、企業として遵守すべきルールやコンプライアンスをしっかり守ることができるかです。いわゆる「コンプライアンス・ファースト」を徹底しなければいけません。
たとえば、DX活用の中に「メールマガジン送付」がありますが、これは個人情報保護法にて「オプトアウト」と呼ばれている、「送付先から送信解除要求があった場合には、送信元がすぐに対応する、もしくは送付先自身で解除できるようにしなければならない」というルールがあります。
また、現在アメリカでは、相手の年齢を聞くこと自体がNGとされているような風土もできつつありますので、多様性を受け入れ認める「ダイバーシティ」や「インクルージョン」の考え方が基本になければ、広く社会から認められるDXを通じた取り組みにはならないということも改めて自覚すべきでしょう。

3.CRMを中心に据えた業績アップ手法

DXの推進は、CRM(Customer Relationship Management、顧客管理システム)がベースとなります。DXの第一歩は、すぐにお客さまに情報発信できるような状態になっている顧客リスト「ハウスリスト」を作ること。今あるリアルな顧客接点以外のデジタルな顧客接点をつくることがDXのポイントです。

CRMを中心に据えた業績アップの具体的なステップは下記のとおりです。

①ハウスリストの作成

営業活動や展示会等で得た名刺、ネットでの情報検索、過去の問い合わせ履歴等をもとにハウスリストを作成します。

②マーケティング・オートメーションの導入

マーケティング・オートメーションを導入し、メールマガジンの配信体制をつくります。マーケティング・オートメーションとは、メルマガの配信システムのことで、誰がメルマガを開いたか、メルマガを開いた人の中で、いつ誰が自社のサイトのどのページを見たのか等が分かるメリットがあります。船井総研が中小企業に推奨しているのは、比較的安価で高機能なZohoというサービスです。

③有望商談の抽出

マーケティング・オートメーションで発信したメールマガジンへの反応を見て有望商談を抽出します。

④その上で営業フォローを行う

ZOOM等のリモートでのミーティング、訪問、電話をかけてアポを取るといった営業フォローを行います。

4.成功事例の紹介

①ハードロック工業株式会社

ハードロック工業株式会社は、従業員87名のねじの製造会社です。コロナ禍での売り上げ激減、新規顧客獲得が困難になったことを背景に、本格的にDXを推進。技術情報を訴求するソリューションサイト「ねじ締結技術ナビ」を立ち上げたところ、従来の10倍に当たる月に7,000件の新規潜在顧客がサイトに来るようになりました。また、同社製品の導入検討のため、設計技術者が図面(CAD)をダウンロードする数が月100件から月400件にアップしたほか、今までにない顧客として、産業用ロボットや工作機械を扱う業界においてニーズがあることが分かったそうです。CRMを実施した結果、市場からのニーズが入り、ニーズの在りかを知る仕組みを構築することができました(学習利益)。

②株式会社藤波

株式会社藤波は従業員13名、部品加工と工場工事に力を入れている商社です。同社は新規ユーザーの獲得のためDXに取り組みました。具体的な業務内容を発信するため、部品加工と、工場・メンテナンスの2つのサイトを立ち上げたほか、マーケティング・オートメーションを用い、同社のサービスの内容を伝えるメールマガジンを月に1~2本配信しました。DX導入後の営業では、経験の少ない若い社員でもメルマガを見た顧客がどんな情報に興味をもっているかが分かっていますので、その情報にもとづいて資料を準備し、訪問しています。アポイントも非常に取りやすいとのこと。CRMを実施し平均単価が高いものを扱うようにしたところ、従業員数は変わらず、売り上げが1.5倍になりました(アップセリング)。

5.まとめ

DXの第一歩はハウスリストを作ることです。ハウスリストを作ったら、マーケティング・オートメーションを検討して、デジタルな顧客接点をつくっていくことが大事です。

企業が情報モラルに取り組む際のポイント

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用によって、コロナ禍にも関わらず過去最高の売り上げと利益を出している日本マクドナルド社のような大企業がありますが、近年では法人向け(B to B)のものづくり製造の中小企業でもDX活用の成功事例が数多く出てきています。その手順は①ハウスリストの作成 ②マーケティング・オートメーションの導入 ③有望商談の抽出 ④営業フォローの4ステップです。
しかし、重要なのはこれらの前提となる「企業として遵守すべきルールやコンプライアンス」をしっかりと守っているか?です。
例えば、DX活用の中に「メールマガジン送付」がありますが、これは個人情報保護法にて「オプトアウト」と呼ばれている、「送付先から送信解除要求があった場合には、送信元がすぐに対応する、もしくは送付先自身で解除できるようにしなければならない」というルールがあります。こうした「コンプライアンス・ファースト」が、DX活用の必須の前提条件です。