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第4回セミナー
「先進テクノロジーと企業経営」開催報告

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講演1 「中小企業でも活用できるテクノロジー実践編 ~AIとロボットで地域課題の解決を目指す~ 」

1.はじめに


講師:
株式会社ディースピリット
代表取締役 大野 栄一氏

株式会社ディースピリットはAI、IoT、ロボット、クラウドソリューションの企画開発を行う企業です(愛媛県松山市、2014年設立)。
本日は、「企業向け人権啓発事業」「情報モラル啓発事業」ということですが、なぜ自社でAIやロボットの技術の開発や活用をしているのか?という理由にも通じる大切にしたい考え方があります。
それは、「技術を社会の目に見える形にしたい」というものです。本来、このような技術は、なかなか目に見える形で評価されにくいものですし、また大手を中心に研究開発や商品サービス化が進んでいます。したがって、私はこうした状況の中で、愛媛県松山市という地方都市から挑戦し、様々な課題を抱えている人たちに役立つものを生み出し、それを通じてその人たちに幸せになってもらいたいと考えています。

2. AI事業

①高齢者転倒検知にAIを活用

高齢者転倒検知システムとして、ウェアラブルウォッチで加速度・心拍数などをモニターして、異常を知らせる仕組みと転倒の前後を記録する仕組みを合わせたシステム開発に着手しましたが、高齢者がデバイスを外す、ウェアラブルウォッチの電池の持ちが悪い、転倒の条件設定が困難という事象が発生しました。
そのときに、東北大学からAIを使ってみてはどうかというアドバイスがあり、ウェアラブルウォッチを使わず、カメラ側でAIが転倒を判断するシステム開発に取り組むようになりました。AIカメラも自作しました。カメラと組み合わせたボード型コンピューターの中にAIを入れ、人の関節点を画像から抜き出してAIで判定させ、通常状態と転倒状態を見分ける仕組みを作りました。識別精度は8割程度です。

②AI美容スタイル診断ステム

残念ながら転倒検知システムでは製品化できませんでしたが、副産物として、AIが自分に似合うヘアメイクや服装を診断するシステム(美joyonスタイル診断システム)を開発できました。岡山市の美容室との共同開発で、AIの診断結果をもとに、美容師などのプロが似合う髪型やメイク、ファッションを提案してくれるものです。
センサーカメラで撮った画像から、骨格・顔のパーツの配置等をデータ化してAIの検出器で診断させ、答えを出す仕組みを用い、フェースバランス診断、骨格診断、パーソナルカラー診断をします。加えて、地元の百貨店のブランドショップで、自分に似合うファッションブランドを具体的に提示します。
AI美容スタイル診断システムは14店舗に拡大、AIを活用した事例として、自社の商品として販売しています。

3.ロボットの開発

ロボットの動作とAIの関連付けを研究する過程でできたのが、果実をロボットアームが採る「収穫ロボット」です。AIを利用し、3次元空間上の座標をカメラが認識することを通して空中の梨の位置を判断して、ロボットアームが自動で収穫するロボットを開発したところ、2020年に第25回四国産業技術大賞・奨励賞を受賞しました。

4.共同研究への取り組み

地元の愛媛大学との共同研究にも取り組んでいます。「AIを活用したミカンの庭先選別」として、庭先で病気のミカンを手で分ける作業をAIで効果化する仕組みの研究が進行中です。AIが5種類あるミカンの病気を判定して識別できるようになっていて、スマートグラスに実装し、病気のミカンを見ると病名が出てくる取り組みをしています。
愛媛大学とは、ロボットアームを使った「食事介助ロボット開発」の共同研究も行っています。

5.中小企業としてAIやロボット活用の可能性と難しさ

①可能性

AIは個別対応が必要なため、小回りが利く中小企業が取り組む分野としては非常に可能性がありますし、他者との差別化にもなります。また、AIは、専門性のある人を全く置き換えるのではなく、専門性をより発揮できるような支援システムとして大きな可能性があると考えています。

②難しさ

最新技術の習得と継承には難しさがあると考えています。

6.テクノロジーを活用する上で必要な考え方

①お客さまの視点

  • ベンチマーク
  • 部分最適から社内横展開、全体最適へ。
  • IT担当者の育成

②社員やエンジニア視点

  • 挑戦
  • 分からなければ聞く

③社会に対しての視点

  • 分かりやすく、扱いやすく

今後のビジョンとして、DXの推進、製造業のスマート工場化を推進したいと考えています。

7.Q&A

Q1

実際に取り組む場合の製品等における動作の安全配慮やセキュリティー管理面の工夫ポイントをご指導願います。

A1

セキュリティーや安全は、ロボットや情報システムの導入するときに非常に大事です。企業の情報リテラシー、情報システムへの理解度によって度合いが変わってくるため、身に応じた安全対策やセキュリティー対策が必要になってきます。セキュリティーの管理システムやロボットの安全の管理システムにはISO基準がありますので、それらを参考にしながら対策をしたらいいのではないかと思います。

企業が情報モラルに取り組む際のポイント

AI、IoT、ロボット、クラウドソリューション等のテクノロジーの活用は、最新技術の習得と継承については難易度が高いものの、他者との差別化にもなり、また特にAIは、「単に専門性のある人を全く置き換える」のではなく「専門性をより発揮できるような支援システム」としての大きな可能性があります。
しかし、これらのテクノロジー活用においては、企業としての「情報リテラシー」つまり「情報システムへの理解度」や「安全やセキュリティーに関する対策」が大変重要です。
私たちは「技術を社会の目に見える形にしたい」という想いで、愛媛県松山市という地方都市から挑戦し、様々な課題を抱えている人たちに役立つものを生み出し、それを通じてその人たちに幸せになってもらいたいと考えていますが、企業としての「情報リテラシー」や「安全やセキュリティーに関する対策」を重視して取り組んでいます。