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第5回セミナー
「働きがいとウェルビーング」開催報告

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講演1 「社員を幸せにする企業経営」

1. モラルについての学問予防倫理と志の倫理(志向倫理)とは?


講師:
EVOL株式会社
代表取締役CEO  前野 マドカ氏

倫理学は

①予防倫理(消極的、内向き、萎縮の倫理)
②志の倫理(志向倫理)(積極的、外向き、元気の出る倫理)

に分けられます。
予防倫理は、悪い社員を引っ張り上げるための倫理で、ネガティブな倫理とも言います。
志の倫理(志向倫理)は、社員がさらに良くなって、より良い社会を創っていくための倫理です。ポジティブな倫理とも言い、幸福学とほぼ同じ意味です。
ルールを守るだけではなく、従業員が主体的・自発的に行動することが重要です。幸福経営を実行することにより、創造性・生産性の向上や欠勤率・離職率の低下が実証されています。

企業が情報モラルに取り組む際のポイント

「〇〇しない」「ルールを守りましょう」といった従来の情報モラルの教育手法は、「予防の倫理」と共通します。問題行動を起こさないように諭すことにとどまっており、主体的に行動し、より良い社会をつくるために貢献したいと考える人には響きません。志の倫理に基づいた教育手法は、個人、企業、社会のウェルビーイングにつながります。

2. Well-beingとは

世界保健機関(WHO)は、を身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることと定義しています。感情としての幸せ・幸福は、Well-beingの構成要素の一つです。
幸せは伝染します。企業の経営者が幸せであれば、社員も幸せです。
Well-Beingの科学は予防医学と言えます。健康な人をより健康に、幸せな人をより幸せにすることを目的としています。従業員の幸福度を向上させると、創造性・生産性が高くなり、欠勤率、離職率が低下することが、実証研究で明らかになっています。従業員幸福度は、生産性、創造性、リーダーシップ、モチベーション(やる気)、組織の良好な人間関係(チームワーク)、心の健康に影響します。
従業員エンゲージメント(従業員が会社の向かっている方向性に共感し、自発的に貢献したいと思う意欲)、ワークエンゲージメント(仕事に没入・集中すること)は、従業員幸福度の一部です。
また、幸せな人は長寿であることも明らかになっています。90~100歳の幸福度は高い傾向にあります。一方、幸福度が低い傾向にあるのは50~53歳という調査もあります(『実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』前野隆司著)。

3. Well-being基礎

非地位財(安心、心、健康)による幸せは長続きします。
幸せの心的要因に関連するアンケートを1,500人の日本人に行い、その結果を因子分析して、「幸せの4つの因子」を導き出しました。

①第1因子 自己実現と成長の因子(やってみよう因子)
②第2因子 つながりと感謝の因子(ありがとう因子)
③第3因子 前向きと楽観の因子(なんとかなる因子)
④第4因子 独立と自分らしさの因子(ありのままに因子)

夢や目標を持ち、多様な人とのつながりを大切にし、前向きに、自分らしく生きることを推奨します。
企業経営の場合は、良好な人間関係を築くのが第一歩なので、まずは②第2因子 つながりと感謝の因子を高めることをお勧めします。
従業員が感謝の気持ちを伝え合ったり、褒め合ったり、挨拶し合うことで、人間関係が良くなり、幸福度が向上します。感謝の気持ちを伝えるときは単に「ありがとう」というだけでなく、理由をつけると良いでしょう。