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第9回セミナー
「シビックテックと地域振興」開催報告

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講演1 「テクノロジーの力で地域課題を解決」

1. シビックテックとは?


講師:
一般社団法人コード・フォー・ジャパン
林 敬子氏 

シビックテックとは、「シビック(Civic:市民)」と「テクノロジーTech:技術」をかけあわせた造語です。
シビックテックの活動は、Code for America(2008年設立)から始まり、Code for Allには世界各地24カ所以上のコミュニティが参加しています。
2013年にCode for Japanが設立され、その後、都道府県や市区町村、地域単位でそれぞれの地域に根付いた活動をする「ブリゲード」が誕生し、活動を広げています。ブリゲードは「消防団」という意味で「Code for ××」と地域名を付けるなど、全国80ヵ所を超えています。Code for Japanは、それぞれのブリゲード同士が緩やかにつながるネットワーク・コミュニティとして、ともにさまざまな活動に取り組んでいただけるように、サポートしています。

2. Code for Japanの取り組み

Code for Japanは、シビックテックの啓蒙や行政機関のテクノロジー活用を推進する非営利組織です。理事・役員のほか社員(スタッフ)が現在15名弱在籍し、行政機関や研究機関などの受託事業にも取り組んでています。
行政機関との協働の実績としては、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトの構築、スタートアップ支援、オープンデータ支援などがあります。

(1)「オープンにつながり、社会をアップデートする」

Code for Japanは、「オープンにつながり、社会をアップデートする」というミッションを掲げ、ミッションを達成するために、「シビックテック・アプローチ」をとっています。従来、市民は行政に対する要望や苦情を提示し、行政から公共サービスを受け、行政に依存してきました。しかし、市民が地域の課題解決のために、行政、企業、NPO法人などと連携して、テクノロジーやデータを活用して取り組むための場づくりをCode for Japanは支援しています。

垣根を越えたオープンなつながりからコミュニティが形成され、プロトタイプを作るプロジェクトが立ち上がり、アイデアとノウハウが蓄積・共有されます。そうした活動が「シビックテック・エコシステム」であり、社会をアップデートするために大切だとCode for Japanは考えています。

(2)行動指針

①Beyond all borders(あらゆる境界を越えていこう。)

Code for Japanは、行政の透明化、デジタル化を支援し、GovTech(「Government(政府)」と「Technology(技術)」)にも取り組んでいます。
市民は、自分たちが理想とする暮らしやまちづくりに、行政や企業などと連携して参加したいと考えています。行政は、市民を巻き込んでスムーズに合意形成したいと考えています。一方企業は、自社の技術やサービスをまちづくりに活用したいけれども、地域や行政との関わり方が難しいという課題を抱えています。
このようなまちづくりの課題の解決のために、Code for Japanでは、「Make our City(わたしから始める、スマートシティ)」というプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトでは、参加型民主主義プロジェクトのためのオープンソースの市民エンゲージメントツールDecidim(デシディム)を活用しています。

②Open-source minded(オープンソースなマインドでいこう。)

Code for Japanでは、オープンソースソフトウェア(OSS)の活用も積極的に取り組んでいます。目的を問わずソースコードを利用、修正し、頒布することを許し、より良いものを利用者目線で作り、共有することを大切にしています。
こうした活用の中で、災害によって端末で情報を閲覧できなくなった方向けに、Wi-Fiスポット、給水スポットやガソリンスタンドなどの位置情報を地図上に可視化し、印刷し配布することができるWebアプリケーション「紙マップ」を開発しました。
また、コロナ禍では、臨時休校期間に、保護者と子どもが動画などの学習コンテンツや学習計画表を閲覧し勉強できる「おうちで時間割」を開発しました。
さらに、東京都からの委託事業として、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトを短期間で構築しました。「データ・ビジュアライゼーション」という手法を用いて、グラフや表などを用いてデータを可視化し、陽性者数や検査数などを、正確にわかりやすく伝えています。ソースコードを公開することにより、世界中から224名以上のコントリビューターによる協力やアドバイスを得ることができました。このコントリビューターの尽力が高く評価され、2020年グッドデザイン賞 金賞受賞することができました。
東京都のソースコードを再利用して、北海道、京都府、福岡県など約80の自治体で新型コロナウイルス感染症対策サイトが立ち上がりました。
この時、各地域の取組みの障壁となったのは、自治体のデータ形式フォーマットが揃っていないことでしたが、総務省と連携し「新型コロナウイルス感染症対策に関するオープンデータ項目定義書」を作成することにより、情報発信の効率化を図ることができました。

③The first penguin, agile flippers(ファーストペンギンには、機敏に泳ぐ翼がある。)

シビックテックの仲間とは、Slack(チームのコミュニケーション・ツール)を使って、オンラインで交流しています。東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトの構築がきっかけとなり、全国のコントリビューターがSlackに集結しました。
Code for Japanは、年に一度シビックテックの祭典として「Code for Japan Summit」を開催しています。他の地域の活動を知り、仲間とつながり、次の一歩を踏み出すためのイベントです。
コロナ禍以降は、コミュニティに関心を持つエンジニア・デザイナーの参加者が増え、高等専門学校生などの若い世代、女性の比率も増えています。
また、海外とのコラボレーションも進み、台湾、香港、韓国のシビックテック関係者が集まる「Facing the Ocean」というハッカソンを年に1~2回開催しています。
シビックテックの参加者は、デザイナー、エンジニア、公務員、会社員、自営業、学生など、属性はさまざまです。参加の役割も、以下のように多様です。

  • 課題を提示する
  • リサーチする
  • 課題解決のアイデアを出す
  • 課題解決のサービスをつくる
  • 課題解決に必要なデータやコンテンツをつくる(集める)

3.貢献のしかた

コロナ禍で、インターンシップなどの機会を失った高等専門学校生などを対象に、チームで社会課題の解決に向けたプロダクトの企画提案を行うCivictech Challenge Cup [U-22]を実施しています。
高校生向けにもSTEAM教育(S: Science、T: Technology、A : Art、M : Mathematics)の一貫として、デジタル・シティズンシップにも取り組んでいます。
また、シビックテックを継続していくためのプロブラム「Civictech Accelerator Program」も進めています。
また、NPO法人の非営利団体による社会課題解決の活動とデジタル活用を結びつけた「NPTech」は。革新的な活動です。NPO法人は、デジタルについての知識不足、経営戦略を立てる人材が少ないこと、相談相手がいないなどの課題を抱えています。そこで、「NPO法人の中からNPTechが促進されれば、社会課題解決が進むのではないか」という仮説をもとに、NPOとエンジニアが社会課題解決を「ともに考え、ともにつくる」コミュニティ活動を進めます。

企業が人権尊重に取り組む際のポイント

今や副業や勤務外の時間を活用したボランティア活動が認められつつあります。地域の社会課題解決のためにボランティア活動などで得た知識や経験、人脈を企業にフィードバックできれば、企業にとってもメリットは大きいはずです。
企業外で多様な経験を積んだ従業員の多様な働き方を認め、どのようにエンパワーしていくかが、経営者にとって課題になるでしょう。勤務時間の配分など一つひとつ問題点を解決することが求められます。