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第9回セミナー
「シビックテックと地域振興」開催報告

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講演2 「若者の力を社会へ還元するネットワーク構築の実践」

1. 一般社団法人ワカツクの活動内容


講師:
一般社団法人ワカツク 代表理事
渡辺 一馬氏  

ワカツクは、

  • 課題解決が出来る若者を育成する
  • 若者が挑戦できる(失敗できる)環境を地域につくる

活動を行っています。

今まで、東北の地域企業200社と全国の学生約2,000人を実践型インターンシップでつなげてきました。若者が課題解決の現場で「インターン」や「副業」として参加して、挑戦出来る環境を東北につくろうと考えています。
今までの活動内容を紹介します。

①復興庁の委託事業「伴走型人材確保・育成支援モデル事業」

震災後、復興庁の委託事業「伴走型人材確保・育成支援モデル事業」を6年間にわたりプロデュースしました。東北各地の地域のコーディネーターと行政が連携して企業と学生をつなぎ、200社の企業に1,400人の学生がインターンとして参加しました。
復興庁の委託事業が終わっても、7割以上の若者が、震災復興イベントをボランティアとして手伝うなど、継続して地域とつながっています。30名以上が、インターンとして働いた企業や地域の企業に就職したり、「地域おこし協力隊」として派遣され、移住したりしています。

②「仙台若者アワード」

社会貢献する若者を表彰する「仙台若者アワード」を仙台市、コカ・コーラボトラーズジャパンと連携して開催しました。

③学生と企業をつなぎコーディネートし、社会貢献、地域貢献

仙台市にある古紙回収会社のSKグループと東北工業大学の環境活動に取り組んでいる団体「環境サークルたんぽぽ」をつなぎました。SKグループとたんぽぽは、共同で古紙回収を社会貢献につなげる事業モデルを考案しました。そして、古紙回収で得た売上げの一部を孤食解決に向けた「地域食堂」を手がけるNPO法人に寄付しました。これをきっかけにSKホールディングスは、古紙回収で得た収益を地域のNPO法人に継続的に寄付しています。
また、東北医科薬科大学医学部の学生団体「ari」と仙台の老舗である「お茶の井ケ田」をつなぎ、店舗の喫茶スペースの一角に「ミニ図書館」をオープンしました。「ミニ図書館」のコンセプトは、「0冊から始まるまちの図書館」。地域住民の孤立を防ぐために役立っています。また、医学生がミニ図書館で健康相談も行う予定です。

2. インターン事業

(1)インターン事業のコンセプト

私は、1997年に開学した宮城⼤学に⼊学しました。新⼊⽣だけでサークルをつくり、サークル室を借りようとしたところ、大学の事務局に「前例がないので、貸せません」との返答がありました。そこで、宮城大学初代学長の野田一夫先生に相談したところ、「自ら、課題を解決せよ」と言われ、1997年、新⼊⽣だけで「学⽣の社会還元」を⽬指す学⽣サークルを設⽴しました。これが、若者が挑戦できる環境をつくる事業を始めたきっかけです。その後、ワカツクを設立しました。
ワカツクを設立して以来、企業と若者が協働で課題解決することをコーディネートしています。企業が何をしたいのか、どのようにしたら組織が活性化するかを一緒に考え、学生が仕事を通じて成長するような業務内容、研修内容を企画しています。学生に対しては、インターン期間中も修了後も伴⾛して、⽀援します。
インターン事業を展開している理由は、地域に若者が残れないのは、地域社会の責任だと考えるからです。地域に魅力的な仕事がない、若者を引き付けるものがないからです。そこで、若者が挑戦したいと思う良質な場所を創りたいと考えました。同様の活動を展開している地域プロデューサー(地域コーディネート機関)も全国各地で活躍しています。

(2)若者の挑戦事例

塩釜のハコ屋の業態変革

塩釜にあるダンボール製造メーカーは、⽔産加⼯業の企業にダンボール箱を売っていましたが、⽔産加⼯業が廃れてきたため、ダンボール製のブロック型のおもちゃを開発しました。しかし、おもちゃを戦略的に販売する従業員がいないのが課題でした。その課題を解決したのが、インターンの学生でした。学生は販売戦略を考え、イベントを開催するなどのプロモーションを企画しました。
その結果、1箱10円でダンボールを売っていた地域のハコ屋さん(モノ売り)から1箱100円以上でダンボールを売る⼦どもと⼤⼈の教育業(コト売り)へと業態を変革することに成功しました。地域企業や⼤⼿企業とのコラボレーションも始まり、仙台市の科学館に常設展示されることになりました。さらに、他の地域でも販売される商材に成長しました。

(3)副業、兼業

社会⼈の副業・兼業も⼀般的になっています。公益財団法人東北活性化研究センター「副業・兼業による新たな人材・人口還流方策」報告書によると、首都圏人材の53.4%が「副業・兼業している」および「副業・兼業を予定している」「副業・兼業してみたい」と回答しています。特に、20代は65%程度で、若い⽅ほど関⼼が⾼い傾向にあります。
実践型インターンシップと副業の受⼊れの構造は、ほぼ⼀緒です。学⽣を戦⼒として活⽤出来る企業は、社会⼈の副業もスムーズに導⼊出来ています。
また、コロナ渦によりオンライン化が進み、遠⽅の若者が地域の企業に簡単にインターンとして参画できるようになりました。

3. 実践型インターンシップの導入方法

経済産業省が発⾏する『成⻑する企業のためのインターンシップ活⽤ガイド』によると、インターンシップは、体験中心あるいは実践中心に分かれます。
また、企業の創業期、成長期、改革・第二創業期のどのステージでもインターンを活用することができます。とくに、改革・第二創業期には、インターンをはじめ、副業・兼業の方を活用しやすいと思います。
さらに、『成⻑する企業のためのインターンシップ活⽤ガイド』によると、インターン生が戦力になるパターンを4つあげています。

  1. 新規事業立ち上げエンジンとしての活用
  2. 右腕としての活用
  3. 営業・販路拡大での活用
  4. 学生の強みを生かした活用

またワカツクは、外部⼈材を受け⼊れる時、気をつけることとして、以下の点をあげています。

  1. ⽬的を共有出来ているか
  2. 条件・ルールを明確に伝えられているか
  3. 若者を会社全体で受け⼊れているか

コロナ渦、ポストコロナの時代、中小企業、小規模事業者は、インターンをはじめ、副業・兼業の方を活用するチャンスでもあります。

企業が情報モラルに取り組む際のポイント

ワカツクは、学生と企業の間に立ってコーディネートする際、学生の個人情報を扱います。個人情報が漏洩しないように、個人情報の管理に注意を払っています。
また、学生が情報を発信する際、「○○しない」といったように抑止的に注意、アドバイスをしていません。逆に、ポジティブな意見、課題の解決に向けて積極的な提言などを発信するようにアドバイスしています。
中小企業の経営者は、ダメな例を提示するのではなく、情報発信の良い事例を従業員に提示することをお勧めします。